1998'08.15 (Sat) 23:11
グリーンコンサーツ東京公演 オペラ・モノローグ〈チプコ〜木を抱く夢〉
京都を拠点に独自の委嘱新作演奏活動を続けるグリ‐ン・コンサーツ、今年の東京公演は、近年合唱曲で名を高めた藤井喬梓のオペラ・モノローグ《チプコー木を抱く夢》。パリトン、ピアノ、打楽器のための2部1時間半近い大作モノ・オペラである。妻の死で自閉的になった男が、夢の中で木=自然と交感することで癒しを得るという現代の寓話を扱う。
響きはドビュッシーがら前衛までの語法を駆使しながら親しみやすく、結果的に林光などのヒアノ・オペラにひとひねり手が加えられた格好。
数種の練り上げた作曲様式を身に付けた藤井ならではの力作である。状況説明がら心情変化までが歌手一人に課せられるのはこのジャンルの宿命だが、たとえば一部を合唱に分担させればより広範な上演が見込めるのではないか。再演三演を期待したい。新人のパリトン初鹿野剛は風貌・歌唱・演技すべてに主人公の化身を見る思いの秀演。極めて雄弁なピアノ(中嶋香)と打楽器(中村功)は名手の好演が堪能できた(4月30日・紀尾井ホール)。
高久暁
音楽の友(1998.7)
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